フィンランドの幼稚園・小中校舎がログハウスで造られた理由
学校施設の室内空気環境!
修復工事が必要な学校はフィンランド全土で1000校以あり保育園や学校で早急な対応が必要だといわれている。
この問題は1960~70年代に貧しかった時期に急いで建てられた古いパネル構法(ツーバイ構法)の建物壁内、校舎の中に湿気や雑菌がこもるようになり黒カビが発生、ビニールクロスやカーペットの下の接着剤も人体に様々な症状をもたらした。喉を痛めて声をからし、耳の感染症や頭痛を訴えるようになった。
そこで問題解決に乗り出したのが、北部オウル市のプダスヤルヴィ町。同町は新しい学校施設は小、中、高校をまとめて「世界最大のログハウス校舎」にすることを決定した。
その完成間近なログハウス校舎がこちら(2015年9月に訪れた際の写真)
210mm 壁厚、シティーコーナー仕様の巨大なログ壁
フィンランドの進化した高性能ログハウス
ログハウスでは壁の材木が湿気を吸い、室内空気が乾燥するとその湿気を室内に戻すので、空気が快適に保たれ、素材もエコロジカルで、防音効果にも優れている。建設費は一般のコンクリートや木造の建物より若干高くつくが、ログハウスはライフスパンが長く、将来の修理作業は少ない。ちなみに、この9700平方メートルもある「Pudasjarvi hirsikampus プダスヤルビ ヒルシカンプス=(ログキャンパス)教育施設」の校舎の利用可能年数はおよそ150年と推定されている。
プダスヤルヴィ町では2013年にも既に「世界最大のログハウス幼稚園」も開園している。
奥は園長先生、手前は友人のKAISUさん
同町では、今回の「世界最大のログハウス園舎」が、建物の悪質な室内空気環境だった過去の歴史を変えることができると確信している。将来同じ過ちを繰り返さないためにも、「公共施設を建設の際には、原則ログハウスを起用する」という決定を下した。同町では高齢者用の住居型サービス施設としてもログハウスで進める方針。
プダスヤルヴィ町のログハウスプロジェクトは、建築段階から非常に多くの注目を集め、ヒルシカンプスが開校した今では数多くの自治体から視察の要請を受けている。これに触発されて、現在、近隣の他の自治体でも、ログハウス校舎が建設もしくは建設が予定されている。空気の美しいログハウスの学校が、フィンランド各所で見られるようになる日も、そう遠くはない。