フィンランドログハウスはシェルター! 丸太組構法の耐震性(地震に強いログハウス)
東日本大震災より早や4年。
地震を始めとする災害に対する意識が高まって来ております。
住宅の耐震性についても真価を問われる時代となってきた今、ログハウス(丸太組構法)の地震に対する構造とメカニズムも気になりますね。
ログハウスが地震に強いことは良く知られております。
1995年1月に発生した阪神・淡路大震災後から大学の教授等の研究調査により、その耐震性は徐々に注目され始め、
2004年の新潟県中越沖地震などの大震災の際にもログハウスの躯体はほとんど損傷がなく、耐震性に優れていることが証明されました。
津波による大きな被害を受けた東日本大震災でもログハウスの特殊な工法が地震に強い事が実証されています
こちらは、東日本大震災にて地震はもちろん、津波にも耐えたログハウス。
ログハウスの強固な構造は、過去の地震で倒壊した例は一つもありません
その強さは、丸太組構法特有の構造にあります。
①基礎とログ本体との緊結力
基礎とログ壁を緊結するためのアンカーボルトは2m以内間隔にログ壁全周に設置。
ピンポイントでアンカーボルトを設置する軸組み工法よりも、基礎と躯体とを緊結力は断然強く、引き抜きにも強いのです。
津波だけでなく、土砂崩れにも耐えたログハウスの実例もあります。
②重心の低い安定した構造
一般的な木造住宅と比較して、5~6倍の木材量を使用するログハウスは、
その重量から重心が低く揺れに強いのが特徴です。
③地震の揺れエネルギーを吸収する能力
こちらは地震発生時の在来軸組み構法と2x4工法の揺れの軌跡図
日本で主流の在来軸組工法と2x4構造は、8の字を描きながら揺れ続けます。
揺れが発生した際に仕口となるホゾが梁にメリコミ、ホゾの抜けやせん断が発生します。
これらは構造上の仕方ないため、当社のForestVillaではその弱点を克服するためにも金物だけに頼らない一手間!
柱と土台に木栓を使用するなど昔ながらの知恵と工夫を取り入れております。
丸太組構法の揺れの軌跡図
初期の剛性も強く、また揺れを表す8字がだんだんと縮小していることが読み取れます
これは、丸太組構法が繰り返し続く揺れのエネルギーを吸収する能力を保持しているのです。
④ログ壁同士の摩擦抵抗力による揺れの吸収力
横揺れが発生した場合、ログ壁間が滑りが発生しますが、何段にも積み重なるログとログに摩擦が発生し、揺れを吸収します。
④ボルトとダボ(木栓)によるせん断抵抗力
ログ材同士を木ダボで緊結して水平応力に抵抗させます。
このようにダボを打ち込むことにより、壁を一体化させ「耐力壁」となります。
ログ壁の要所に補強が必要な場合には、スチールパイプを使用。
同様に水平応力とせん断に対して抵抗します。
段数の少ないログ梁はボルトにて緊結。
また、ログノッチの外側には通しボルトにてログ壁を緊結固定
木ダボやスチールパイプによるせん断抵抗力に加え、ボルトによるロープ効果により、ログ壁の変形を最小限にします。
また、すべて天然の木材で構成されたログ壁には多少の遊びがあり、その遊びが揺れを吸収してくれる。
丸太組構法には地震対策に用いられる免震装置や制震装置のような、振動エネルギーを吸収する能力が構造そのものに備わっているのです。
⑤地震に強いログハウスプランニング
丸太組構法の要であるログノッチ。
ログハウスはログ材とログ材の交差点、『ノッチ組み』により、互い違いに組み上がり、ログ壁を構成していきます。
このノッチの個所が多ければ多い程、その建物の構造強度が保たれます。
コストを落とすために、外周面だけがログ壁に囲まれた、”ロ”の字や”日”の字のプランも多いのが現実ですが、耐震性の面からも当社ではお勧めしておりません。
Forest Crewの基本設計では、このノッチ個所をプラン段階で多く取り入れ、耐震強度&ログデザインを高めます。
ログ壁とログ梁が立体交差するノッチは丸太組構法ならではの構造美を楽しめるのもログハウスの良さの一つです!
⑥耐震実験
日本ログハウス協会では2007年に世界で初の耐震実験を行っております。
1回目には兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)相当の震度7の加震実験。
また、その巨大地震の1.5倍(震度10強相当)の実験も行いました。
その結果は建物の傾きが数ミリと亀裂が数箇所という驚異的な強度で、現実に発生する可能性の非常に少ない巨大地震の実験にも耐え、ログハウスの耐震性と安全性の高さは実証されております。
ログノッチの多いログハウスは大きな吹き抜けや開放的な間取りでも地震に強い。
家族が安心して快適に暮らせるシェルターとしての役割も果たす家=ログハウスなのです。
A.Ikegawa